2025/04/01 11:15



サイドゴアブーツはいつか作りたいと思っていた靴でした。

きっかけは、世界一周の旅でニューヨークを訪れた時のことです。


ニューヨークといっても、マンハッタン島のニューヨーク・シティのことではありません。

シティを含むニューヨーク州の北部オールバニーです。

そこに旅の途中、スウェーデンで出会った夫婦を訪ねていきました。


オールバニーは州都でありながら、シティよりずっと小さくて、高いビルはなく、郊外にりんご畑が広がり、ハドソン川も森に囲まれ、その森にはポッサムが住んでいるような穏やかな場所でした。

そこに築200年以上の古民家を改装して住んでいたのがライス夫妻です。

華やかなマンハッタン島ではなく、穏やかな「こここそリアルニューヨークだ」という彼らの地に足をつけた暮らしぶりは、初めてアメリカを訪れた私たちには新鮮で、憧れを抱かずにいられませんでした。


その中で印象的だったのは奥さんが履いていたサイドゴアブーツ。

背の高い彼女がデニムに合わせていたのがなんとも格好良かったのです。

その靴は履きやすいのと聞いた私たちに彼女は「こどもを相手しながら、両手に大きな買い物袋を持って家を出入りするには必須ね」とチャーミングな笑顔で答えてくれました。


その時は靴屋になるなんて思ってもいなかったのですが、時が立って、どんな靴を作りたいかを2人で考えていたときに最初に思いついたアイデアのひとつがサイドゴアブーツでした。


やがて私たちにハルが生まれ、子育てに追われる様子を写真で見て時々メッセージをくれる夫妻。

もう20歳を超える一人息子を育て上げた彼女たちの言葉は、いつも優しさに満ちたエールに聞こえます。


そんなわけでこのブーツの名前は、アイデアが生まれた時からライス夫妻の名前にちなんで「SJ」です。

深い感謝と敬意を込めて。


そういえば、この靴ができたらアメリカに2人を訪ねていきたいと話していたかもしれないなあ。